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サマスク2024発表会、無事終了!

私たちピースセルプロジェクト(Peace Cell Project: PCP)は、夏休み期間を使い、イラクの小学校にてサマースクールを実施しています。本記事では、そのサマースクールの概要とその意義をお伝えいたします。



1、サマースクールの活動内容

私たちはイラク・ドホークの小学校で、夏休み期間中にサマースクールを実施しています。プログラムは5週間にわたり、毎年50〜70人ほどの生徒たちに対して、主に空手、音楽、お話作りのコースを提供しています。

最終日にはパフォーマンスデーを開催し、生徒たちがサマースクールで学んだことを両親や親戚の前で披露します。



2、サマースクールの意義ー「共感する力」ー


では、なぜ私たちはイラク・ドホークにてサマースクールを実施しているのでしょうか?


イラクには数多くの民族・宗教をもった方々が生活をしており、彼らはそれぞれに被害の歴史を抱えています。「自分たちの民族・宗教が他のグループからどのように傷つけられてきたか」

という被害の歴史は、親から子へ、子から孫へと語り継がれ、度重なる紛争・戦争が起こりました。この「報復の連鎖」は世代を超えて受け継がれてきました。


この連鎖を断ち切るためには、政治レベルから草の根レベルの取り組みまで多角的なアプローチが必要になりますが、その中でも異なるバックグラウンドを持つ相手に共感し、受け入れることは、平和な社会を築いていく上で不可欠なものです。なぜなら、いかに政治や武力の力で一時的に紛争が止まったとしても、違った立場の人を憎しみ続けている限り、いつまでも紛争の火種はなくならず、真の平和は訪れないからです。


私たちが活動しているドホークも多様な民族、宗教、宗派、言語を持つ人々が暮らしている地域です。ここでは、クルド人のほか、多くのシリア難民や、国内最大数の国内避難民(IDP)、社会復帰をしつつある元子ども兵が多数暮らしています。



この多種多様な人々を内包する土地で、若い世代が異なる立場の相手を想像し相互理解を促進できる新しい平和構築を行うことは、紛争予防をするために非常に重要です。



ところが、現在のイラクではこうした「共感する力」を育む機会が少ないのが現状です。例えばドホークでは、難民や国内避難民の問題、人口増加により教育は圧迫され国語や算数といった知識を付けるための科目が優先され、音楽や美術といった非認知能力科目はほとんど行われていません。また、体育の授業は行われてはいるものの、しっかりとしたカリキュラムがあるわけではなく、座学や簡単な遊び程度にとどまっています。


しかし、私たちはこうした非認知能力教育こそが、子どもたちの「共感する力」、つまり、想像力やエンパシー(相手の立場になって心情を想像すること/力)を育む上で大切なものだと考えています。


だからこそ、サマースクールを通して、子どもたちに様々な表現の機会を提供することで、音楽の楽しさや身体を動かすことの楽しさ、表現することの喜びを感じてもらうとともに、「相手の背景を想像する力」「共感する力」の土壌を育んでほしいと願っています。



3、子どもたちの様子

空手コースを例にサマースクールでの子どもたちの様子を共有します。

空手コースでは「力の制御」をテーマに行っています。ある種、空手は暴力と捉えることもできるかもしれません。しかし、空手において強くなるということは、相手を倒すことができるようになることではなく、人に優しく自分に厳しくなることです。そのため、空手を通じて相手の気持ちを考え、自分の力をコントロールできる人になってほしいと考えています。

コースでは、基本の動きや型(相手との攻防を想定した演舞)をメインで教えていますが、その中で子どもたちの自信の変化をものすごく感じることができます。空手を初めてやる子どもたちにとって、型は複雑な動きばかりなので最初はうまくできず、初めはあまり楽しめてない子がいるのも事実です。ですが練習してうまくなってくると、これまで自信がなく動きに覇気のなかった子が、動きにキレがでてきて、「まだやりたい!」と言うようになってきます。こうした、子どもたちの表情や行動から内面の成長をみれるときは、空手を教えていて嬉しくなる瞬間です。

さらに、友達に動きを教えたり、私たちスタッフを手伝ってくれたりしてくれる子どもも出てきます。こうした、相手がどう教えられたらわかりやすいか、相手に何をしたら嬉しいか、という想像力と、実行してくれる行動力には、子どもたちの将来の明るさを感じます。

同様に、音楽やお話し作りのコースでも子どもたちが成長をみせてくれます。そのため、5週間と期間は短いですが、サマースクールは子どもたちにとって非常に意義のある時間となります。



4、ピースセルプロジェクトを応援する

私たちは「絵本と演劇で紛争を止める」を合言葉に、イラクで世代を超えて受け継がれてきた「報復の連鎖」を断ち切り、平和な世界を実現するために活動しています。

この連鎖を断ち切り、紛争を予防するためには異なる立場の相手を理解することができる共感力が必要です。そこで、私たちは読書・演劇・芸術・地球環境などのさまざまな教育プログラムを通して、現地の子どもたちの想像力、創造力、表現力、共感力を高め、多様性を認め合うことのできる新たな平和教育を提供しています

こうした私たちの新たな取り組みは、第4回「SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞」の平和・人権の部に受賞されるなど、紛争予防に効果的な活動であるとして評価され始めています。

しかし、世界では依然として社会は分断され、紛争が続いています。こうした状況に対処するために、私たちの取り組みをさらに加速させていく必要があります。そのためには、より多くの皆様のご協力が不可欠です。

私たちの活動は毎月1000円(1日33円)からなっていただけるピースセルサポーターをはじめとする皆様からのご寄付によって成り立っています。イラクでの「報復の連鎖」を止め、平和な社会を実現するためにも、是非私たちと共にピースセル(平和細胞)の一員になっていただけると幸いです。


▶ピースセルサポーター募集ページはこちら






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