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  • 執筆者の写真peacecellproject

ISによるヤジディ教徒大虐殺から今日で10年


ヤジディ教徒の聖地シンジャールの中心部にて(2023年11月)


ISは2014年8月3日、シンジャールに住む40万人のヤジディ教徒を襲撃、殺害し、彼らの土地を破壊して難民へと追いやりました。約1万人のヤジディ教徒が殺害または拉致され、処刑された人々の半数が子どもでした。


2014年6月までに、ISはイラクの約3分の1以上を制圧しました。新たに拡大した領土には、イラク第 2 の都市モスルと、バイジにある同国最大の石油精製所が含まれ、さらに、ヤジディ教徒の聖地であるシンジャール地区もその領土に含まれていました。


8月3日夜明け前、ISはシンジャールへの襲撃を開始しました。ヤジディ教徒が逃げる唯一の方法は、8月の40℃を超える危険な暑さの中、山を登って逃げることだけでした。一部のヤジディ教徒がイラクのクルド自治区・ドホークに通じる北側の道路にたどり着きましたが、ISがこのルートを封鎖し、シンジャール山のヤジディ教徒約5万人を包囲しました。この地域の山には木がほとんどなく、容赦無く太陽の熱が照りつけます。そんな山で数日間、5万人が死の恐怖に怯えました。負傷や食料・水不足で死亡した人々のほぼ全員(93%)は子供でした。


この山に辿り着くことができなかった約6,000人がISに捕まり、男性・少年と女性・子どもとに分けられました。イスラム教への改宗を迫られた男性・少年は、それを拒否すれば家族の目の前で処刑されました。「改宗か死」の判断を迫られ、改宗を選んだものたちは捕虜として捉えられ、奴隷として強制労働させられました。規則を守らなければ殴打され、逃亡を試みると処刑されました。


女性と少女は性奴隷として売買されました。わずか9歳の子どもも性奴隷となりました。ISの家庭で、他の家事労働も強いられましたが、中には彼女らを「汚い」と呼んで料理をさせない家庭もありました。奴隷に値しないとされた、高齢女性は処刑されました。


7歳以上の男児は家族から切り離され、ISの訓練キャンプに送られました。異教徒=ヤジディ教徒と戦って殺す訓練を受けさせられました。男児たちは少年兵として、自らの家族をも殺す道具として訓練させられたのです。



集団虐殺から10年経った今でも、約2,700人のヤジディ教徒が行方不明のままです。そのうち約1,300人は拉致当時子供だった人々です。


ヤジディ教徒の約3分の2である数十万人が、国内避難民(IDP)または難民となっています。約18万人が国内避難民のままであり、そのほとんどはイラクのクルド自治区・ドホークにある 15 か所の国内避難民キャンプでテント生活を強いられています。彼らは家を持てず、難民キャンプのテントで暮らしています。


一方、彼らの故郷、シンジャールの街は未だ瓦礫のままです。家屋や建物が破壊されたままで、通りには瓦礫や戦争の残骸が散乱しており、イラクで最も不発弾に汚染された地域の一つです。



シンジャール中心部の様子(2023年11月撮影)


紛争で破壊されたインフラは水や電気へのアクセスを著しく困難にし、帰還民のための学校や病院が不足しています。治安上の懸念、統治の欠如、インフラや基本的なサービスの欠如など、ヤジディ教徒が故郷に帰れないのにはこれらのいくつかの要因が関係しています。



2018年ノーベル平和賞受賞を受賞したナディアの出身地コチョ村は廃村となっていた。小学校は虐殺資料館、校庭は墓地になっていた。



最も深刻なのは、当時のトラウマです。故郷で起こった集団虐殺や奴隷化、家族の分断が、彼ら・彼女らの心にどれほどの深い傷を残したか計り知れません。


しかし、イラク政府はクルド自治区の国内避難民キャンプを閉鎖する計画を立てています。さらに、1家族あたり400万イラクディナール(約3,000米ドル)の一時金では不十分で、増額されるべきという声が上がっています。 残念なことに今年6月、スレイマニアにある国内避難民キャンプの一つが強制的に閉鎖されました。



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参考記事:

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